【DMEDH】ルール変更の解説(18/01/14)

メルキスです。
本日変更したDMEDHのルールについて解説します。

■規制カードやルール変更に対する考え方

前提として、メーカーはゲームのありたい姿を目指してカードをデザインしていますが、2次創作である変種ルールではリリースされるカードがゲームのありたい姿から遠ざけようとしたとき、ゲームの姿かカードを矯正する必要があります。
プレイヤーが自分のデッキを構築するDMEDHにおいては規制カードリストの更新やルールの変更という形で対応しています。
キューブドラフトやタワーデュエルのような単一のプールを使用するルールでは、カードプールに入れる・入れないという選択でゲームバランスの調整をしています。
ダーク・ボルメテウス(ダークボルコン)ではカードプールを旧枠に限定させることで新カード追加による影響を少なくしています。

DMEDHの目指しているゲームの姿とは実に多くの要素を含んでいるのですが、主要なものとして
1.カードの採用及びゲーム中のプレイの選択肢の最大化
2.ヘイト管理をはじめとする多人数戦の駆け引きの成立
3.カジュアルゲーム
が挙げられます。

特に「2.ヘイト管理をはじめとする多人数戦の駆け引きの成立」を目指すにあたって、相手ターン中に妨害できないデュエル・マスターズにおいては、カード数枚でゲームを破壊してしまうカードやコンボがその障害となっているため、それらを取り除くためにカードの規制やルールの変更を行っています。

DRONQz0VAAAhDEg

デュエル・マスターズの基準フォーマットはスタンダード落ちによるカードパワーの調整を行わない殿堂ルールであるため、必然的に新しいカードは古いカードより全体的なカードパワーは高くなっていき、キルターンも短くなっています。
DMEDHにおいては規制するカードが年々増加傾向にあり、今年度はこのままのペースだと去年度を上回る見込みとなりました。

規制カードが多くなるとゲームを始める敷居が高くなってしまうため、規制される共通の要素を持つカードが一定以上増えてくると、その共通の要素をゲームルールで取り除くという対応をしています。
エクストラウィン、エクストラターン、マナのアンタップ、染色、数字変更の禁止などがそれに該当します。

まとめると、DMEDHにおいてはメーカーが徐々にカードパワーを上げながらリリースしているカードに対応するためには規制カードやルールの追加は避けては通れない必要な措置であり、今回の変更はそういった過去に何度も行われた対応と何ら変わりのないものであるということです。

■ルール変更の解説

以下のルールを追加しました

デッキに4枚より多く入れることができる能力を持つカードを除き、プレイヤーは自身が同じターン中にバトルゾーンに出したクリーチャーと同じ名前のクリーチャーをバトルゾーンに出すことはできません。
プレイヤーは自身が同じターン中に唱えた呪文と同じ名前の呪文を唱えることはできません。

統率者の統率領域からの召喚を1ターンに1回だったのをほぼすべてのクリーチャーと呪文に横展開します。
同じクリーチャーや呪文を何度も使用するループを一括りで使用不可能にします。

DRONQzzUQAEEDhd

今までのループへの対応はループの動きの要であるカードでかつ、規制してもループ以外の影響が出にくいものを検討したうえで個別に規制して対応していましたが、規制するカードが増えたこと、規制カードの検討に時間が取られすぎて他の要素を検討する時間を確保することが難しくなっていることから、ループをルール的に定義して一括で禁止することになりました。
特にDMRP-04で登場したキズナ系の能力は多くのループ・チェインコンボを成立させることができ、そのパターンの多さから取り除くには膨大な時間と規制が必要になることがわかり、今回のルール変更に踏み切ることになりました。

また、クリエイターズ・レターvol.18続編では、
「残念ながら、我々が掲げている「皆様に楽しく激しく熱い体験をして頂きたい」という願いとループデッキとはあまり相性がよくありません。ループデッキは、他人が干渉するタイミングを与えないデッキだからです。
(中略)
実は、それをシステム的に解決する手段もあります。相手ターンの相手のアクションへの介入手段がないのが問題なら、それをぐっと増やせばいいのです。そうすれば、ループデッキとのやりとりを増やすことが可能です。
ですが、それをしてしまうと、デュエル・マスターズが大事にしている「簡単さ」だったり、「スピード感」だったり、「ダイナミックさ」が薄れてしまいます。何かを得ることは、何かを失うこと。なので、その方法を採用することはできないのです。」

とあり、今後のカードプールの追加によってループを対策できるようになる可能性が低いことも背景に挙げられます。

ループの定義は
・現状の規制カードを多く減らすことができること
・今後追加されるカードで起きるループを防止でき、検討時間を減らせること
・ループ以外のデッキへの影響をなるべく少なくすること
といった条件から検討しました。
一部の能力を無効にしたり定義される行動の回数を増やすといったことや、ルールではなくイベントの規定で謡っておくといったことも候補にありましたが、最終的に今の形に落ち着きました。

しかしループ以外のデッキへの影響として、
・リサイクル呪文の2度撃ち
・アルカクラウン→バベルギヌス→アルカクラウン蘇生
・ハリデリベルグでそのターン中に破壊したクリーチャーの蘇生
等々、今まで問題なく行えたことも含まれてしまうことを完全に取りきることはできませんでした。
また、ソフト的に2回使用を止めてしまえるデジタルTCGと違ってそのカードが1度使用されたかどうかはプレイヤーの記憶頼りにになってしまうため、少し慣れが必要になってしまっています。
テストしたときは大きな問題は起こらず、ゲーム中のストレスも許容範囲内でしたが、経過を見ないとわからないことがあるのも事実です。

以下のルールを変更しました。

クリーチャーを1枚「統率者」に選びます。

クリーチャーを1枚「統率者」に選びます。ただしデッキに4枚より多く入れることができる能力を持つカードは選ぶことはできません。

チョロチューのようなデッキに4枚より多く入れれるカードはハイランダー構築であるDMEDHであっても何枚でも入れることができますが、統率者に指定して、その統率者が山札などの非公開領域に移動すると統率者かデッキに入っている同名のカードなのかの区別が付かないことが懸念されていました。
そしてDMRP-04に収録されたバグル・パズルによってその懸念が強まったため、統率者に指定できないという形で対応します。
これはMTGの統率者戦で統率者に指定できるクリーチャーが「伝説の」という背景ストーリーに登場した重要なクリーチャーにつけられるサブタイプを持つクリーチャーに限定されていることが判断材料に含まれています。

■その他
・ジェルヴィス統率者禁止
バイス・カイザーやメガ・マグマ・ドラゴンのような手札でマナコストが下がる能力は常在型能力や誘発能力といった能力の区分に該当しない能力であるというのが5年程前に確認した裁定でした。
そのため多人数戦で参照するゾーンは指定した相手プレイヤー1人だったのですが、継続的効果を生成する常在型能力と区分されたため、多人数戦では全ての相手プレイヤーのゾーンを参照することになりました。
つまりDMEDHの初期状態でジェルヴィスのマナコストは7コスト軽減されて5だったのが、21コスト軽減されて1となったため、統率者に指定すると大変なことになってしまうため統率者禁止の措置を取りました。

■最後に
規制リストの理念にもある地域のコミュニティに合わせたローカルルールを重視するのであれば、規制カードもルールの追加も不要であり、本ルールも此方の環境を基準にすれば規制リストは現在の半分以下に抑えることもできます。
ソニックブームなんかを例に挙げるとわかりやすくて、ソニックブームでシールドが2枚になったプレイヤーをソニックブーム自身でさらに攻撃するプレイヤーが多い地域では脅威と見なされ、2枚になったプレイヤーとは別のプレイヤーを攻撃する地域では脅威と見なされません。
そういった地域ごとのばらつきを一つのルールで全て吸収することは難しいため、ローカルルールでの対応を選択肢として持っています。
しかし、交流会やCSサイドイベントへの展開を考えると、DMEDHを初めてやってみた相手がループで、わけも分からずゲームが終わったら退屈なゲーム体験として終わってしまう(実際に報告されている)ため、ここでの推奨ルールはそういった視点で判断することも多いです。

DMEDHも7年目となりましたが、これからもよろしくお願いします。