8/25,26の第12回静岡CSのサイドイベントにて、DMEDHのミニ選手権と、フリー対戦及びティーチングを開催しました。
本記事はイベントの振り返りであり、事前に行った準備と当日の動き、今後の課題を共有することで、CS等のイベントでサイドイベントとして変種ルールを導入する一助になればと思います。
フリー対戦とティーチングは前回と内容が変わっていないため、今回は8/25のミニ選手権に絞って振り返ります。
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■背景・目的
当サイトではDMEDHにおいて、遊んでくれているプレイヤーにとって嬉しいものや問題を解決してくれるもの、DMEDHを遊んでくれるプレイヤーが増えてくれるようなものを目指してルールの整備やデッキレシピの公開などを行っております。
前回、第11回静岡CSではマッチングの改善と初心者への導入を目的としてDMEDHのフライト式対戦会及びティーチングを開催し、成功を収めることができました。
しかし静岡は元々DMEDHの盛んな地方で、元々対戦相手には困っていないプレイヤーもそれなりに多く、身内で十分という方にとってはランダムでマッチングする当サイドイベントにはやや嬉しさがありませんでした。
そこで今回は参加に対する付加価値を付けるという方向性のイベントを計画しました。DMEDHのサイドイベントの形を模索する試みも兼ねています。
■イベント設計
・選手権ポイント
DMEDHは非競技的なカジュアルなゲームとして設計されているため、ただ勝敗を競うだけでなく、珍しいことや面白いことを起こしたプレイヤーにも賞品をあげよう、ということでMTGの日本統率者選手権を参考にして、実績ポイントを採用しました。
日本統率者選手権は結果的にガチガチの競技環境で、実績ポイントは無限コンボ中のついでに相手のカードを使って達成する、という稼がれ方をされていましたが、無限コンボの殆どが使用不可能なDMEDHでは機能することを期待して設定しました。
賞品は全勝(勝利ポイント1位)と、勝利ポイント+実績ポイントの合計ポイントの1位と2位に設定しました。
実績ポイントのみの1位に商品を渡すかどうかはかなり迷いましたが、延々と決着を着けずに実績ポイントを稼ぎあう談合が成立する懸念があったため、総合得点の順位となりました。
実績は以下の5項目を選定しました。
《統率者大好き》:ターン中に自分の統率者に11マナ以上のコストを払った
《種族大好き》:バトルゾーンに同じ種族の異なる名前のカードを5枚以上コントロールした
《大破壊》:ターン中に自分のコントロールするカードでクリーチャー20体以上を破壊した
《パック大好き》:ゲーム中にカードの効果でパックを2パック以上開封した
《特殊勝利》:エクストラウィンの条件を満たした(DMEDHルールにより、ゲームは続行されます)
《統率者大好き》
DMEDHは統率者を中心としたデッキ構築の幅広さが特長の一つですが、統率者ドローのみを目的とした軽量統率者が有利なことが多いため、大型の統率者を採用するデッキが満たしやすい項目として設定しました。
《種族大好き》
統率者選手権における「奇数大好き」「偶数大好き」に当たる項目です。比較的達成しやすい項目として設定しました。
《大破壊》
クリーチャーが並ぶ《種族大好き》を狙うプレイヤーが多くいるという想定で、そこからポイントを狙えるようなものとして設定しました。
《パック大好き》
パックを使用するカードは予想外で楽しい展開を演出してくれるので、それを推奨するものとして設定しました。
《特殊勝利》
ルール変更によって使用不能になったエクストラウィン系のカードにメリットを持たせれないかという試行でした。
過去にルール変更の案で「エクストラウィンしたらゲームから一抜けする」というのがあり、そこから着想を得て設定しました。
・ラウンド数と制限時間
まず、スタッフが見れる範囲や他のサイドイベントに参加するであろう人数から16人という定員を設定しました。
医学的見地からDMEDHのゲーム時間は45~60分が理想であり、それ以上の時間はゲームの楽しさよりも終わらないことによるストレスが徐々に増加し、90分以上でそれが支配的になるということがわかっているため、制限時間は60分としました。
サイドイベントの開始時間はメインイベントの遅れに引きずられるため前倒すことが望ましく、また16人なら4人卓×4で2ゲームで全勝者1人なるということでラウンド数は2ゲームとしました。
物足りないと思う方はフライト式対戦会に参加して貰うことで対応できると考えました。
・直前の規制カードとイベント限定規制カード
実績ポイントの設定時に、このイベントの最適解のひとつが《Forbidden New Year/禁賀新年》採用の《メラビート・ザ・ジョニー》統率者であることを想定していました。
勝利ポイントが誰かが敗北したときに生き残っているプレイヤー全員に1ポイントのため、集中攻撃をすること、しているプレイヤーを止めないことへのデメリットがないため、折角出てもすぐに倒されてつまらない、というイベント体験を損ねるという懸念がありました。
DMEDHの規制カードはそういった懸念を解消することも目的の一つであり、以前より問題視されていた《アイアン・マンハッタン》をここで禁止にするという選択をしました。
《Forbidden New Year/禁賀新年》については設計段階より想定しており、2ゲーム使用しても確実にペイできる保証がなさそうなラインの賞品を選定するという対策を取りました。
しかし賞品への反響が予想外にあり、また参加者へのイベント体験を重視するとイベントルールで禁止にするのがより良い選択であると判断しました。
先の《アイアン・マンハッタン》もイベント禁止にする案もありましたが、イベントとそれ以外で規制カードを分けるのは混乱の原因になるため望ましくないと判断しました。
立ち位置が特殊な《Forbidden New Year/禁賀新年》に限定した処置であると言えます。
■準備
・賞品
DMEDHのイベントにふさわしい賞品として、メインイベントに賞品にしづらく、DMEDHプレイヤーにとって価値がありそうなものということで、当サイトでも紹介している英語版プロモにしました。
・参加賞
英語版カード5枚入りのオリジナルパックです。《青銅の鎧》のようなDMEDHで使用機会の多いものや《光器サーシャ》プロモ版のような上位賞に出しても良さような豪華なカードまで入っています。
・対戦表
ハンドルネーム、卓番号、勝利ポイント、解除した実績のチェック欄があるスリップです。対戦前に配布→対戦後に記入してもらって回収します。
16人ということでマッチングを手動で行っていたため必須です。
・受付用紙
参加者のハンドルネーム記入欄があるシンプルなもので、参加する際に受付で記入してもらうための用紙です。バインダーに挟んで用意
・スタッフ
16人なので常駐スタッフは1人(筆者)だけで、準備・受付・アナウンス・ジャッジ・スコアキーパーなど、イベントに必要な全ての業務を行いました。
他にも本戦イベントから合流した知り合いが手伝いとして見回り等を行ってくれました。
■当日の動き
昼休憩に設営を行いました。
受付用机×1をバックヤードより移動させて設営し、イベント対戦用テーブル4卓に明示を貼ります。
■結果と課題
イベントの結果については【イベント結果】第12回DM静岡CSサイドイベント DMEDHミニ選手権参照。
定員16人は満員になり、無事終わりました。
・選手権ポイント
獲得したポイントの大半が《統率者大好き》《種族大好き》の2つで《大破壊》はイベント通して一回達成されました。《パック大好き》《特殊勝利》は誰も達成しませんでした。
プレイヤー1人の1ゲームあたりの平均獲得ポイントは0.93と、勝利ポイントの1.75と比べても低いことがわかります。
とはいえゲームを進めるうちに簡単に達成できるものに関しては割と積極的に狙われていたように見えます。
もう少し達成条件を簡単にしたり、達成が難しいものは獲得ポイントを増やしたりと調整が必要そうでした。
例:《大破壊》→クリーチャーは離れた数も含める、条件を20体から15体に減らす、など
・制限時間
要検討です。
時間切れだと勝利ポイントが得られないので粘るデッキは不利であり、そういうデッキは多くないだろうと踏んでいましたが、予想よりも光入りの長期戦デッキの数が多く、ロングゲームが頻発しました。
1回戦では60分経過時点で終わっていた卓が1卓のみで、このままでは2回戦目の決勝卓のメンバーが1回戦と同じになってしまうということで延長していました。
延長に対するルールを決めていなかったため全体的に緩くなっていました。
これはイベントのルールはもとより、DMEDHのゲームルールでも改善の選択肢(ロングゲームの要員を取り除くなど)があるため、より良い手段を検討していく必要があります。
・ジャッジング
当日、ゲーム中にデッキリストの不備(禁止カードをデッキに入れてしまっている)が3件発生しました。どれも巻き戻せるタイミングで発覚したため、該当カードをイベント終了まで《はずれポンの助》に入れ替えて巻き戻しという処置を取りました。
《偉大なる無駄》では統率者以外のマナが発生するためふさわしくなく、入手性も悪いので《はずれポンの助》はこの処置に最適なカードといえます。
基本的にゲームロスのような重い罰則は適用したくないので、ペナルティの手段としてデッキの中身を《はずれポンの助》と入れ替えるのは有用だと考えます。
カジュアルなイベントを企画する際に、《はずれポンの助》を《ジョーカード》と同じく何枚か用意することをお勧めします。
・賞品
イベント前も後も好評でした。DMEDHの賞品として英語プロモは選択肢に入ることがわかりました。
・参加賞
これはフィードバックが得られませんでした。最後の静岡CSということで豪華にしたつもりでしたが残念です。
パックを作る手間も考えると今後はあまりお勧めできるものではありません。
■まとめ
今回も静岡CSでの本サイドイベントでは成功を収めることができ、改善点も見つけることができました。
静岡CSは今回で最後のため、今後DMEDHのサイドイベントを行えるかはわかりませんが、イベントを企画している方の助けとなれれば幸いです。