メルキスです。
今回は、DMEDHの抱える問題点の共有と、それを解決するための助けとなるガイドラインについて記述します。
DMEDHに限らずフリー対戦全般で起こるような内容なので、多くのプレイヤーに読んで欲しい記事となります。
目次
■ガイドラインの概要
■背景
■レベルの分け方
■注意事項
■最後に
関連記事:ゲームの面白さとは?相互作用と駆け引きによるDMEDHのデザイン
■ガイドラインの概要
DMEDHを遊ぶすべてのプレイヤーがゲームを楽しむためのポイントと、より白熱したゲームで遊ぶのに役立つ、デッキ・プレイレベルのガイドラインです。
1枚目のポイントは、MTGの統率者戦のイベントであるコマンダー・ナイトのものとほぼ同じ内容で、参加者全員が気持ちよく対戦するための要点がまとめられています。
【お知らせ】みんなでわいわい #統率者戦!来週からは #コマンダー・ナイト もスタート!https://t.co/FUDIR1lgZL
そんな #統率者戦 を楽しむためのポイントと、デッキパワーレベルのガイドラインを公開しました。ガイドラインは対戦前のテーブル内レベル合わせにぜひ活用してみてくださいね!#mtgjp pic.twitter.com/H8TaIygNsX— マジック:ザ・ギャザリング (@mtgjp) July 5, 2020
2枚目のレベルガイドラインは、ゲームが最も白熱する、近い強さ同士の対戦を楽しむのに役立ちます。
こちらはMTGの統率者戦で使用されているようなデッキのレベルを10段階で評価するものではなく、独自の評価方法です。
デッキレベルとプレイレベルの合計によって、ガチ、カジュアル、ファンの3種類5段階に分けられます。
■背景
ガチカジュ論争、またはファンガチ論争は古今東西さまざまな対戦ゲームでされており、根本的な解決には至っていません。
DMEDHはゲームの結果に拘りすぎず、その過程をみんなで楽しむ、いわゆるカジュアルなゲームを行えることを目指して設計されています。
ガチとカジュアル(ファン)の定義は人によって様々ですが、私はゲームの面白さとは?相互作用と駆け引きによるDMEDHのデザインで書いた、ゲームを面白く複雑にする「3つの相互作用」がどう扱われているかで分類できると考えています。
ガチとはゲームの目的、つまり大抵の場合で自身の勝利を最優先し、そのためには3つの相互作用が失われることは厭わないデッキやプレイングのことを指します。
対してゲームの目的以外に、3つの相互作用を高めることを重視するデッキやプレイングのことをカジュアルやファンと定義しています。
DMEDHではデッキ構築レベルでは汎用性の高い強力なカード「だけ」でデッキを構築するか・しないか、3人纏めて反撃の余地を与えない即死コンボを狙うか・狙わないか、などがあり、
プレイングレベルでは1人を集中的に攻撃するか・しない、自分が集中攻撃を受けやすい状況を作るか・作らないかなどが挙げられます。
DMEDHの現状はカジュアルゲームを標榜しているものの、多くのゲームはガチに分類されるものであり、プレイヤーの要望の多くもガチに寄ったものとなっています。
これは現行のゲームとイベントに原因があると考えています。
ガチとカジュアルが同じテーブルで対戦すると、ガチが勝利することが多くなり、ガチの目的は達成されますが、カジュアルの目的は達成されないことが多くなります。
極端な例ではカジュアル側がガチに何もできずにゲームから排除されることもあります。
こういった事態は「不幸なミスマッチ」と呼ばれ、はじめて参加したプレイヤーが排除され、そのままゲームを辞めてしまうケースすらあります。
このミスマッチはガチ側にとっても物足りなく感じることが多く、参加者の誰も幸せにならないので、プレイヤーが自発的に回避するようになります。
このミスマッチへの回避には、3つのパターンがあります。
①カジュアルがガチに合わせる
カジュアル側がデッキを強化したり、プレイも相応に容赦のないものになります。
②ガチがカジュアルに合わせる
ガチ側がデッキを変えたり、プレイを配慮するようになったりします。
③事前にガチとカジュアルに分かれる
ゲーム開始前に「ガチですか、それともカジュアルですか」「私のデッキの強さはこのくらいですが、どうですか」といった確認をしたり、テーブルの募集の時点で「ここはガチ卓です」という宣言が行われるようになります。
MTGの統率者戦で普及されている方法で、棲み分けによる回避が行われています。
これらの回避策ですが、その地域やカードショップのコミュニティなど、ある程度参加メンバーが固定されている状態と、交流会のような、互いに初見のプレイヤー同士で行うものとでは、大きく勝手が違っています。
地域コミュニティでは3つの回避策がどれも機能し、最終的に全員がそれなりに満足が得られるようになります。
しかし交流会などでは、初見では相手のデッキに合わせるのは難しく、そもそもデッキを複数持っていないことも多いです。事前に分かれるのはイベント主催者側が喚起すれば機能するかもしれませんが、DMEDHではこういったことはあまり行われていません。
そうなると、「全員が最初からガチになる」のです。
「ガチ寄りにデッキを組んでおけば、相手がガチのデッキでガチのプレイをしても対抗できる」と参加者全員が考えた結果、ガチ卓が誕生します。
さらに、交流会は様々なコミュニティのプレイヤーが集まるので、イベントの対戦が終わったにそれぞれのコミュニティに戻ります。
そうするとイベント参加者が媒介となり、交流会のガチ化が地域コミュニティに持ち込まれ、地域によって度合いが異なるもののガチゲームが波及していきます。
つまり、カジュアルゲームを標榜していながら、イベントを繰り返すことで自然とゲーム自体がガチに寄ってしまうのです。
ゲーム自体がガチに寄ると、カジュアルゲームという題目が達成できないばかりか、ゲームの調整もそれに引っ張られてしまいます。
カジュアル目線でなら問題なくても、最もゲームを破壊する使い方を想定すると、規制カードが増え、初心者にとってゲームを始める敷居が高いものになってしまいます。
そこで、不幸なミスマッチを減らすことでガチ・カジュアル両方のプレイヤーが楽しめるようにするため、またゲームの敷居を上げないため、デッキ・プレイレベルの区分の目安を作成しました。
■レベルの分け方
・デッキレベル
レベル1
テーマやコンセプトで組まれた、そのコンセプトを使うことが最優先されているようなデッキです。
特定のセットだけで組んだようなデッキもほぼこれに該当します。
先述の通りゲーム全体がガチ化していることにより、現状はサイトで掲載されるようなデッキは殆ど該当しませんが、当サイトでは【白青赤重呪文】、【5色ライブラリアウト】、【無限改造デッキ 青赤緑ジョーカーズ】/、【無限改造デッキ 青黒緑オーラ】あたりが近いです。
レベル2
ドラゴンやジョーカーズなど、コンセプト自体が最初から強いものや、強くないコンセプトを汎用性の高いカードで補強したような、コンセプトだけでなく勝利も目指すようなデッキです。
ガチ化に伴い、ビルダーがこのレベルだと思っているものには後述のレベル3に該当するものが多いです。
当サイトでは【青単アクアーミー】、【黒単無月】/、【5色クロスギアオーラ】あたりが含まれます。
レベル3
強力なテーマをさらに強化したり、ロックや大量ランデスなどの即死コンボといった強力な出力を狙うような勝利を追求するデッキです。
現状、ガチ化によって交流会などで見かけるほとんどのデッキがこれに該当します(2だと思っていても、1を踏まえるとこっちに近いものが多い)。
当サイトでは【黒赤緑HDM】、【白黒緑ガーディアン・アルカディアス】、【白青ダイヤモンド】あたりが該当します。
・プレイレベル
レベル1
勝利することよりも、カードやプレイヤーの相互作用を重視するという考えです。
勝つための効率的なプレイよりも、使いたいカードを使うことや、場を沸かせるようなプレイを選択します。
レベル2
勝利を目指しつつも、相互作用も高めようとする姿勢です。
使いたいカードは使いつつ簡単には負けないように立ち回る、場を盛り上げつつ締めるところでは締める、といったプレイを選択します。
レベル3
勝利を追求することが楽しさに繋がるという考えです。
レベル2と一見似ていますが、勝利を優先しないようなプレイを楽しむ2や1とは根本的に違い、勝利を目指す過程での効率的な詰め方や鎬の削り合いに楽しさを見出す考え方で、それがプレイの選択となって現れます。
これらのデッキやプレイのレベルは、スタイルの違いあって互いに貴賤はありません。
しかしレベルが離れすぎていると同じゲームで遊んでも噛み合わないのもまた事実です。
対戦前に相手と互いのレベルを確認してもいいですし、対戦中にデッキのレベルが離れすぎていると感じたらそれに合わせてプレイスタイルを変えるような使い方もできます。
■注意事項
レベルガイドラインを活用するにあたって、自分のデッキやレベルがどのレベルなのか自己判断が難しい、と思うかもしれません。
また、自分が思っていたレベルが、相手から見たらそれより高かったり低かったりと思われることもあるかもしれません。
ガイドライン自体はあくまで目安であり、また、プレイレベルはTPOに応じて上下することも多いので、そういったことで対戦相手を非難してはいけません。
しかしレベル2と思っていたものをレベル3と思われることはあっても、レベル1をレベル3と思われるようなことは普通はないので、もしそうであればデッキやプレイを振り返ってみたり、対戦相手とも話し合ってみましょう。
DMEDHは社会的なゲームで、その本質は対話ですので、楽しく遊ぶためのガイドラインはその補佐として役立てることができます。
■最後に
DMEDHのような変種ルールでは、競技プレイヤーと非競技プレイヤーの隔たりなく遊べるようにしたいという思いがあります。
競技イベントであるCSやGPでイベントを行っていたのもそれが理由です。
今回設定したパワーレベルを策定するにあたり、MTGのようなデッキの強さだけでの棲み分けではなく、プレイスタイルにもレベルを設定しています。
これは同じデッキを使ってもプレイによってゲームの模様が大きく変わるという経験的な事実に基づくものです。
ガチプレイヤーもカジュアルプレイヤーもお互いに歩み寄ることでゲームを楽しむことができるという想いがあります。
以上、よろしくお願いします。